日本株アルファ・カルテット毎月分配型【評価】日本株の四階建て
ついに日本株の四階建て投資信託が出ることになるとは。
新規設定してから間もないのに日本株高、円安の波に乗って利益を伸ばしここ最近ネット証券のランキングなどでも顔を見せているのが、日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)
まだ5ヶ月ちょっとですが純資産は113億(2014/09/22時点)と一気に人気の投資信託に名乗りを上げました。
特殊な運用設計だけに魅力がある反面、その実力がどうなのかしっかり分析評価してみたいと思います。
日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)の運用内容を評価
日本株へ投資するものです。
日本株は、原則TOPIXのコール・オプションを利用したカバードコール戦略をおこないます。
金利が高い通貨への投資も同時におこなっております。
取引対象通貨は、当初ブラジレアルとしていますが変更される場合があります。
通貨についてもコール・オプションを利用したカバードコール戦略をおこないます。
株式、通貨ともにカバードコール戦略として活用できるのは原則として純資産額の50%程度としています。
比率は見直される場合があります。
項目 | 説明 |
---|---|
投資対象 | 日本株、(日本債券) |
通貨 | ブラジルレアル※変更の可能性あり |
決算 | 毎月4日付近、年合計12回の配当 |
設定日 | 2014-04-04 |
運用種別 | アクティブファンド |
運用形態 | ファンド・オブ・ファンズ |
日本株と高金利通貨の投資の組み合わせた投資信託は少ないのでこういう意欲作はどんどん歓迎します。
国内外の資産が組み合わさったものでアンマッチと思うかもしれませんが、日本株高、円安の流れが一致しているときはとても魅力的になるはずです。
当然ですが、円高になればマイナス要因となりますから注意が必要です。
現在、通貨がブラジレアルになっているのですが今後どう変化していくかが気になります。
単に高金利だからといって選ぶようであれば良くないので、しっかり通貨高になるような強い通貨に投資してくれるのかをしっかり見ていく必要があると思います。運用歴が浅すぎて今は読み取りづらいので評価が難しいポイントです。
日本債券の投資は補助的に設定してあるもので基本的にはほとんど投資されません。
日本株と通貨の両方でカバードコール戦略を行いますが、日本株のカバードコール戦略をするものはとても珍しいです。
四階建て投資信託は、グローバルリートトリプルプレミアム以来で今後も増えるのかな。
REITと株では値動きに違いがありますから、カバードコール戦略の効果がどう発揮されるかどうかがしっかり見極めないといけないポイントです。
分配金を毎月分配するものですが、収益だけでなく元本を取り崩す場合がありますので認識が必要です。
=>分配金は、「普通分配金」と「元本払戻金」がある
3ヶ月連続で300円配当は全て利益からでており直近の運用成績はそれなりによいようですが、今の日本株市場の利益率を考えるとちょっと物足りなさを感じます。
分配金の大小と運用成績は必ずしも一致しませんのであまり期待しすぎないように
カバードコール戦略について
最近、ジワジワ増えてきているカバードコール戦略なので認知度が上がって居るかもしれませんが、目論見書にはあまり詳しく書いていないところがちょっと良くないです。
イメージは他の投資信託のもので確認してみてください。
カバードコール戦略は、大きな利益を捨てる代わりに大きな損失を防げる可能性のあるものです。
株価は大きく動くのでその値上がり益をそのまま享受できないのはデメリットが大きいような気はするのですが、日本株はよく上下で停滞することも多いのでもしかしたらという期待感はあります。
今までREITでカバードコール戦略をする利点として値上がり益を一部捨てたとしても配当がそれなりにあることが挙げられます。
しかし、株の配当というのはREITなどに比べれば低くなりがちですから、そういった特性の違いが成績にどうあらわれるかは興味深い。
今回のカバードコール戦略で特徴的なところは、カバードコール戦略のカバー率が50%であること。
投資対象の値上がり益とカバードコール戦略による利益のバランスがどう出てくるかの重要な運用ポイントになります。
運用結果を確認するときに意識したいと思います。
購入時手数料や運用コストを評価
項目 | 説明 |
---|---|
購入時手数料 | 0% |
実質の信託報酬 | 1.91% |
<評価・解説>
魅力的なリターンに設計された四階建て投資信託で購入時手数料が0円なのはとても破格です。
ただし信託報酬は、すこし割高な印象。
四階建てで複雑な運用をしているからしょうがない面はありますので、それに見合ったリターンが出ているかどうかで判断するしかありません。
同じような投資信託が出てくれば比較もしたいところです。
あえて個人的な意見を言うなら、個別株に直接投資しないでTOPIXなどの指数に投資してカバードコール戦略に注力する設計にすれば手数料を安く出来ていいのにと思いました。
まぁ、コストをかけて個別株の運用に力を入れるということですからそれだけの成績が期待されるところです。しかし、それであればもっとカバードコール戦略のカバー率を柔軟にしてもいいのにとも思ってしまいます。
組み入れられている ポートフォリオの評価
2014年8月末時点の状況。
<評価・解説>
現状、日本債券に投資するマネーマネジメントマザーファンドへの投資はしていないようですね。余計な投資はしてほしくないのでとりあえず納得出来る内容。
投資対象はほぼ、東証一部の株で占められています。東証一部全体を表すTOPIXのオプションを利用しているのはこの比率からもよく分かります。
新興市場のJASDAQを組み入れているのはしっかリスクをとって収益向上を目指しているのが見え隠れしているように思います。
大規模でより安定した株が組み入れられているように思いますが2.22%の配当利回りは、2014年8月末時点のTOPIX配当利回りは1.89%ですから配当利回りの高いものが選別されていることがよく分かります。
コストのところで個別株の運用について取り上げましたが、なんとなく個別株運用しているなりの結果は出しているように感じます。
もちろん配当が良くても値上がり益が小さければ意味がありませんが、カバードコール戦略としては配当重視なのは納得の運用といえます。
通貨のポートフォリオ説明が運用レポートに明示がなかったのはちょっと残念ですが、目論見書に書いてあったとおりブラジレアル100%です。
カバードコール戦略のカバー率は、原則50%としているより小さいです。意外と曖昧な印象。
カバー率を少し低くして、株の値上がり益を高めた運用を意図的にしているのだとしたらその柔軟性は評価できます。
カバードコール戦略についてはカバー率ぐらいで他の情報がほとんどなく残念。運用歴が浅いため運用報告書も出ていないのでしっかりと評価するには今後の情報開示で見極めたい。
ベンチマークと運用実績の比較を評価
この投資信託にはベンチマークがありません。
<評価・解説>
同じような運用をしているものがあればとりあえず比較しておくことをおすすめします。
とはいえ4階建の投資信託はとても少ないので難しいかもしれません。
単純に日本株の投資信託や日本株と高金利通貨の2階建て投資信託とも比較しておくとカバードコール戦略とパフォーマンスがどう影響していそうなのか実感出来るかもしれません。
リーマン・ショック前後の動きでリスク・リターンを実感してみる
過去に大きく上下したときの値動きを確認することでリスク・リターンの特性を実感してみたいと思います。
期間 | 損益率 |
---|---|
下落幅 (2008/01/04-2008/12/30) |
未運用 |
上昇幅 (2009/01/05-2009/12/30) |
未運用 |
<評価・解説>
2014年からの運用なので評価出来ず。
上下の大きかった期間の動きでリスク・リターンを実感してみる
<評価・解説>
あまりに運用期間が短いので取り上げるのは現時点でやめておきます。
日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)の資金流入と資金流出
<評価・解説>
まだ発売されてから5ヶ月。しばらく経過してからでないと資金流出入の特徴はあまり見えてきませんが先月、急に資金が集まっている事がわかります。なんと1ヶ月で52億円もの流入です。
ネット証券などの販売強化だからなのでしょうか、日本株、円安が急激に動いたからでしょうか。
それまでと比べて急激な変化である点は、注意したい。
日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)への評価と感想
複雑なカバードコール戦略で情報が少なく評価するには運用期間が短すぎます。
単純な日本株投信と比べたらパフォーマンスは劣るように感じますが、カバードコール戦略は安定性にこそ価値があると思いますので今後の運用状況次第です。
高金利通貨がブラジレアル1通貨なのですが、状況に応じてどう変化していくのかはとても重要な要素ですので運用状況はチェックしていく必要があるでしょう。
まぁ今後変わるかどうか自体分かりませんので、とりあえず今のところはブラジレアルに投資するものと思っておいた方がいいです。ブラジレアルの見通しが出来る人向けの投資だと思います。
とても複雑でハイリターンを期待できる商品設計ですが、購入時手数料が0円というのは素晴らしいと思います。
信託報酬が割高に感じるもののコストに見合ったリターンが得られなければ手放せばよいだけ。購入時手数料が0円なのは手放しやすいので扱いやすいといえます。
日本株のカバードコール戦略ということが特徴的ですが、配当利回りを重視した銘柄選択やよく停滞する日本株市場の特性を考えると今後、カバードコール戦略の効果がうまく発揮できるかとても興味深いものを感じさせるものとして映りました。
日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)が購入できるネット証券
なるべく安い手数料の証券会社を選んで取引することをおすすめします。
購入時手数料(税込) | 販売会社 |
---|---|
無料 | フィデリティ証券 |
無料 | マネックス証券 |
無料 | SBI証券 |
無料 | 楽天証券 |
無料 | カブドットコム証券 |
※2014/09/22時点
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