好配当グローバルreitプレミアムファンド【評価】6通貨が光る
ネット証券の売れ筋ランキングで現在1位となっている、
好配当グローバルreitプレミアム・ファンド通貨セレクトコース。
こちらのファンドは、愛称が「 トリプルストラテジー」となっているとおり三階建て投資信託にあたると思われます。
現在、純資産額が2000億円を突破しており、資金が大量に流入したことにより申し込みを一時停止するなど急激に資金を集めているのが分かります。
好配当グローバルreitプレミアムファンド通貨セレクトコースの運用内容を評価
日本を含む世界各国の不動産を運用するREITへ投資するものです。
REIT銘柄を選択する基準は、配当利回りが高いものとなっております。
REITは、配当収益と価格の値上がり収益が見込めるものですが、単純にREIT価格の変動がそのまま反映するものではありません。
コール・オプションを活用したカバードコール戦略をとっているのが特徴です。
さらに、成長性が高いと思われる6通貨へ分散した取引を行い為替収益を上乗せする運用をしています。
収益の内訳は、「REITの配当+REITのカバードコール戦略+6通貨収益」となります。
項目 | 説明 |
---|---|
投資対象 | 世界各国のREIT、日本債券 |
通貨 | 成長が見込める6通貨。※2014/08時点中国元、インドネシアルピア、インドルピー、ロシアルーブル、ブラジルレアル、トルコリラ |
為替ヘッジ | なし |
決算 | 毎月18日付近、年合計12回の配当 |
設定日 | 2013-01-29 |
運用種別 | アクティブファンド |
運用形態 | ファンド・オブ・ファンズ |
<評価・解説>
世界各国のREITが対象となっておりますのでリスク分散された投資信託と言えます。
海外REITへの投資ではどの国へ投資したらよいか分からない投資初心者にとってお任せにできるのはとても便利です。
そして、通貨収益を上乗せする運用戦略でも6通貨への分散がされていることが特徴と言えます。※通貨の各比率は、同じになるように毎月調整しているもよう。
今までの投資信託では、どれか1つの通貨を自分で選ぶもしくは、アジア通貨や資源国通貨などのテーマに沿ったものなど、投資する側が選択させるものが多かったのですが、どの通貨を上乗せ運用するかをプロにお任せ出来るというものです。6通貨へのリスク分散を考えていることと、通貨の種類に制限がなく時代に応じて変更できる自由度が高いのはとても好印象。
1つの通貨だと通貨がマイナス要因で収益を減らしてしまうことがあり投資の難易度が高かったのですが、その問題点を解消した投資信託と言えそうです。
新たな通貨戦略こそが、この投資信託が売れた要因だと私は思います。
似たようなカバードコール戦略をしている三階建て投資信託として、「楽天usリートトリプルエンジンレアル(毎月分配型)」があります。こちらは、米国REIT、ブラジルレアルと集中投資しているのが対照的であると思います。この投資信託の2倍規模となった好配当グローバルreitプレミアムファンドは、これまでの悩みを解消するものとしてその期待の大きさを感じるところです。
日本の債券への投資がありますが、補助的なものだと思われます。
毎月分配型で毎月分配金を出しますが、2014/08/19時点で6627円という基準価額にもかかわらず200円の分配金を毎月出しています。
他の投資信託に比べたら相当高い配当率であることがわかります。分配金は利益だけではなく、元本からも取り崩しますので勘違いしないようにしてください。
もしかしたら表面利回りに釣られて購入している人が多いとも勘ぐってしまいます。
カバードコール戦略について
好配当グローバルreitプレミアムファンドの運用内容で一番理解が難しいと思われるのが、
カバードコール戦略です。
コール・オプションを活用したもので、権利行使価格を基準にREIT価格がどのようになるかによって損益が変わってきます。
メリットとしては、REIT価格が下落してもオプションのプレミアム収入によって損失が補填できる点です。上下に大きく動くREITに安定性をもたらせる戦略といえるでしょう。
デメリットとしては、権利行使価格を超えるREITの価格上昇が利益にならないということ。
要するにある一定以上の利益を捨てる代わりに、指定の利益を確保する戦略と言えば分かりやすいでしょうか。
購入時手数料や運用コストを評価
項目 | 説明 |
---|---|
購入時手数料 | 0% |
実質の信託報酬 | 1.92% |
<評価・解説>
2階建以上で複雑な運用をする投資信託で購入時手数料が0%というのはとても破格で買いやすいものと言えます。
しかし、信託報酬が相当高いです。ファンド・オブ・ファンズ、REITの実物運用、カバードコール戦略、6通貨運用と運用の複雑さは今までにないものですから致し方ないところはあります。
「楽天usリートトリプルエンジンレアル(毎月分配型)」では、リート連動債、リートETFという信託報酬を下げられそうな要因がありましたがそういうのが欲しかったかな。
分散度が高い分はリターンを押し下げる要因となるので気になりますが、運用側の自由度が高い点がリターンにうまく反映されてコストに見合う結果が出ればもちろんいうことはありません。
運用状況を定期的にチェックして運用が思わしくなければ、保有を再検討するなど厳しくチェックすることをおすすめします。
購入時手数料が0%というのは手放しやすいという意味もありますので、調子の悪い時に高い運用手数料を払う必要はありませんね。
組み入れられている ポートフォリオの評価
<評価・解説>
ファンド・オブ・ファンズですが、リターンが小さい日本の債券へ投資はほとんど行っておらず基本的にメインの世界REITでカバードコール戦略をして6通貨戦略する運用へ投資しています。1本のマザーファンドへ投資するファミリーファンド方式にも近いですね。ファンド・オブ・ファンズだからといって下手に信託報酬を上げているということは無さそう。
日本の債券は恐らくリスク回避先として仕組み上用意されていると思います。ハイリターンを期待しているのに通常時に国内債券でリスク低減することは中途半端な運用になってしまうので納得の運用状況ではあります。
世界分散REITは、基本的に市場規模が大きい米国REITが半分以上を占めてしまうのはしょうがないところかもしれません。しかし、他の投資信託と比べると米国比率が大きい気がします。日本の比率が2位というのは特徴的かもしれません。
為替取引については、BRICS、VISTAを意識した通貨構成のように思います。通貨比率を全て等分で比率を合わせているのは、分散を意識しているというのが分かります。
※確認したところ5月に通貨の入れ替えがあったもよう。 オーストラリアドル、南アフリカランド=>ロシアルーブル、中国人民元
上位銘柄では、2位に日本REIT。3位にオーストラリアREITとなっているのは面白い。国に関係なく配当利回り重視で選んでいる表れ?しっかり分析して運用してくれているんだなというのは個人的な感想。
カバードコール戦略の状況
<評価・解説>
他にもカバードコール戦略をしている投資信託がありますが、運用内容を公開していなくて不透明なものがあります。
しかしこの投資信託は、カバー率やオプション戦略の結果が明確に書かれておりとても透明性が高いといえます。素晴らしいですね。
中には、カバードコール戦略はほとんど機能しておらず損益に貢献していなかったりすることもありますからカバー率は、58%とわかりやすく明記されているのはとても好印象。※目論見では確認できなかったですが販売資料での説明によるとカバー率は、個別銘柄ごとに50%~95%でアクティブに実施と紹介していたものがありました。カバー率が95%だと5%までの値上がり益しか得られないという意味。
ただし注意が必要なのは、カバー率が高い分ハイリターンであるREITの魅力が減ってしまうことです。改めて価格上昇に頼るものではなく、配当重視で安定した成果を目指すという運用の趣旨が読み取れると思いました。
5月の運用実績を確認したところREITが上昇したときはそれなりにしっかり上昇していることが確認出来ました。
REIT投資要因 163円
オプション戦略要因 -30円
為替要因 29円
カバー率56.2%
話が変わりますが、
配当利回りがここに掲載されていますが、正直あまり高いとはいえないですね。
ベンチマークと運用実績の比較を評価
この投資信託にはベンチマークがありません。
<評価・解説>
特殊な運用のため、評価が難しい所。同じような投資信託があれば比較したいところです。
カバードコール戦略などによる影響などを知るためにも、米国REITへ投資する投資信託との比較もやっておくといいと思います。
とにかく買う前には、過去のデータから運用のイメージして納得して購入しましょう。
リーマン・ショック前後の動きでリスク・リターンを実感してみる
過去に大きく上下したときの値動きを確認することでリスク・リターンの特性を実感してみたいと思います。
期間 | 損益率 |
---|---|
下落幅 (2008/01/04-2008/12/30) |
未運用 |
上昇幅 (2009/01/05-2009/12/30) |
未運用 |
※計算方法は、配当の再投資なしで本当の利回りによる計算とします。
<評価・解説>
2013年からの運用だったので評価出来ませんでした。
今までにないものなので難しいのですが、他の二階建て投資信託では-50%以上の値動きはありましたから、その程度の想定はしておいたほうがいいです。
上下の大きかった期間の動きでリスク・リターンを実感してみる
期間 | 損益率 |
---|---|
上昇幅 (2013/02/01-2013/05/13) |
+11.1% |
下落幅 (2013/05/14-2013/08/31) |
-21.6% |
※計算方法は、配当の再投資なしで本当の利回りによる計算とします。
<評価・解説>
この期間は、上げに対して下落の方が大きいですね。
高い分配金を出していますが、ある意味リスク回避には貢献しています。しかしその分、その後のリターンを伸ばすためには支障がでています。
分配金は、安値を拾って再投資しないと後のリターンを大きくするのは難しいと思います。
詳しくは分かりませんが、この期間は新興国の通貨が流出した時かもしれません。6通貨が全て新興国なのは影響している可能性があると個人的に思いました。
よってこれだけで運用の評価をすることは出来ませんが、通貨による影響は大きそうであることが分かりました。
好配当グローバルreitプレミアムファンドの資金流入と資金流出
<評価・解説>
過去3ヶ月だけで1000億円の急激な資金流入。凄すぎます。(^_^;
正直、なぜこのタイミングでこの流入なのかは理解できません。
配当の表面利回りに惑わされた流入だとしたらちょっと残念。最近の個人投資家はもっと賢いと思っていますが。
急激すぎる資金流入は、運用に悪影響を及ぼすことも多いので注意して下さい。
投資対象が本当に急上昇しているような強いトレンドであれば別の話ですが。
好配当グローバルreitプレミアムファンドへの評価と感想
商品設計としては、とても意欲的で利便性も高く評価できます。
投資信託のバリエーションとして6通貨への柔軟な投資はとても便利で良いと思います。
これまで通貨選択がよく分からず失敗していたという人には、選択肢になり得るかもしれません。
カバードコール戦略についても透明性のある運用がとても評価できると思います。
しかし現在の運用成績は、あまり評価できるものではないです。ハイリターンを期待した運用設計の割にリターンが小さすぎます。
個人的には、6通貨の選択内容がネックになってしまっているのではないかなと思います。
REIT戦略が配当重視で安定性を求めているにもかかわらず、乱高下の大きい新興国通貨のみを対象にする偏った運用はちょっとアンバランスなのかもしれません。
できれば通貨は米ドルなどの先進国を組み入れたりした方が安定するのに・・・とは思いました。あくまでも現時点での今の相場見通しを考えた上での話です。
この投資信託を買うとしたら、新興国へ通貨流入するようなタイミングが適していると思います。新興国通貨の値上がりにREITの安定した収益の上乗せは、魅力的になるはずです。
ハイリターンの商品で定期的に現金化できるのは利益確定の効果が大きいので相性もいいと思いますが、相場の動きが小さい状況においてずっと高いままの配当を維持しているのはあまり良くないかも。とにかく買うタイミングは、よく考えて投資することが一番重要です。購入時手数料が0%なのはこういう時に役立ちますので利用価値はあるでしょう。
好配当グローバルreitプレミアムファンド通貨セレクトコースが購入できるネット証券
なるべく安い手数料の証券会社を選んで取引することをおすすめします。
購入時手数料(税込) | 販売会社 |
---|---|
無料 | フィデリティ証券 |
無料 | マネックス証券 |
無料 | SBI証券 |
無料 | 楽天証券 |
無料 | カブドットコム証券 |
※2014/08/19時点
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