短期豪ドル債オープン【評価】デュレーションに惑わされるな
FXなどでも高金利で人気の豪ドルは、資源国通貨とも呼ばれ投資としては魅力的なものです。
その豪ドル建ての債券に投資できるものとして大人気となったのが、
短期豪ドル債オープン(毎月分配型)です。
純資産額も日本の投資信託の中でも最大級であり、2014/09/01時点では6274億円!
短期豪ドル債オープン(毎月分配型)の運用内容を評価
豪ドル(オーストラリアドル)建ての高格付けの公社債、短期金融商品に投資します。
債券の安定的な利息収入を期待する運用をします。
投資対象の債券は、格付けがA以上の高格付けのもに限定しています。
ファンド全体のデュレーションを1年未満として金利変動に対するリスクを小さくしているのが特徴です。
為替ヘッジをしませんので円安になれば収益はプラス。円高に慣れば損失が発生しマイナスになります。
毎月決算をおこない、分配金を出します。
項目 | 説明 |
---|---|
投資対象 | 豪ドル建て公社債、短期金融商品 |
通貨 | 豪ドル |
為替ヘッジ | なし |
決算 | 毎月7日付近、年12回 |
設定日 | 2003-04-18 |
運用種別 | アクティブファンド |
運用形態 | ファミリーファンド方式 |
2階建投資信託が発売されてからは、豪ドルへ投資するものは当たり前となりましたが、それよりも前に発売されたもので資源国通貨へ投資できるとあってとても人気が高い投資信託です。
この投資信託の特徴は何といっても「短期債」であるということ。デュレーションは、金利が動いた時にどれだけ動くかを示すものなのですが、それがとても小さい。金利が低下すれば債券価格が上昇してプラスの収益となるのですが、金利が上昇した場合、債券価格は下落してマイナスの損失が出てしまいます。債券の安定した利息の確保を目的とするため、デュレーションを低くすることで債券の価格下落リスクを抑えてあるというものなのです。
資源国通貨は、大きく為替が動くことがありえますので債券から安定した収益が得られたとしても、為替でマイナスになることが想定されます。債券のリスクより通貨のリスクの方が大きいので認識しておく必要があります。
高金利通貨でハイリスクハイリターン設計の投資信託ですから、定期的に利益確定が出来る毎月分配型であることはとてもいいと思います。
分配金は、収益ではなく元本から分配されることもあります。
=>毎月分配型は「普通分配金」と「元本払戻金」がある
購入時手数料や運用コストを評価
項目 | 説明 |
---|---|
購入時手数料 | 2.16% |
実質の信託報酬 | 0.98% |
<評価・解説>
購入時手数料はネット証券でもこの手数料ですから、安いとはいえません。人気の投資信託なのですから、手数料をもって安くしてくれてもいいのにと思うのですけどね。
信託報酬はとても低く設定されていてとても良いと思います。
購入時手数料が高くて信託報酬が低いものは、長期で保有するのに向いているといえるでしょう。
組み入れられている ポートフォリオの評価
<評価・解説>
投資信託の設計通り、デュレーションは1年以下の0.44年。とっても低いですね。
債券の最終利回りは2.97%となっております。債券価格の変動を小さく抑え安定した利息収入を得るという債券の内容であることが確認できますね。
豪ドル建ての債券でも、オーストラリアの債券は43%。日本やその他の国の組入が多いことはとても意外です。
各図は、投資信託の設計通りA各以上。全体の6割が最上級の格付けであるようです。
多くの国の債券へ投資している割には、組み入れ銘柄数が96銘柄というのは印象的。
ベンチマークと運用実績の比較を評価
この投資信託にはベンチマークがありません。
<評価・解説>
短期の豪ドル建て債券という特徴的なものですのでベンチマークが存在しないのはしょうがないのかもしれません。
同じような投資信託とのパフォーマンス比較はやっておいたほうが良いです。
リーマン・ショック前後の動きでリスク・リターンを実感してみる
過去に大きく上下したときの値動きを確認することでリスク・リターンの特性を実感してみたいと思います。
期間 | 損益率 |
---|---|
下落幅 (2008/01/04-2008/12/30) |
-28.0% |
上昇幅 (2009/01/05-2009/12/30) |
+26.8% |
※計算方法は、配当の再投資なしで本当の利回りによる計算とします。
<評価・解説>
1年で-28%と短期債といえどやはり豪ドルはリスクが大きいことが分かります。
下落の反動は同程度反発しているのが分かります。ハイリスクはハイリターンの裏返しということですね。
このことを十分認識して投資する必要があります。
月桂樹/高金利先進国債券オープン(毎月分配型)への資金流入と資金流出
<評価・解説>
2013年以降の流出が目立ちます。2013年からはアベノミクスにより円安基調に動き出した年です。対米ドルでは円安でプラスに起因しているはずですが、豪ドル自体が売られてマイナス要因となったのが原因だと思います。
以下は、対米ドルに対する豪ドルのチャートです。
2013年以降、豪ドル安になっていることが分かります。
これは、円高で収益がマイナスになることを意味します。その値幅は-15%にも及びます。
この流れを受けて投資信託を解約する人が増えたと思われます。
豪ドルがハイリスクハイリターンであることがお分かりいただけたと思います。
ちなみにこの間、オーストラリアの金利は上昇していますのでオーストラリアの債券も値下がりしていたと思います。
相場の見通しに合わせて時には解約をすることも必要であることが分かります。とはいえ現在でも純資産額が大規模であることから長期で保有している人がいるのも確かです。
短期豪ドル債オープン(毎月分配型)への評価と感想
債券のリスクが抑えられてあっても通貨のリスクが大きいため、
豪ドルの相場を見通しできる人向けの投資信託だと思います。
資源国通貨は変動が大きくなることがありますのでできれば中期投資で売り買いをする戦略に向いていると思うのですが、購入時手数料が高いのがとてもネックになっています。
中期向きの投資対象と考えると長期投資向きの設計は、ちょっとアンバランスに感じしてしまうところがあります。
長期で保有する投資スタイルをやってはダメという訳ではありませんので勘違いしないようにして下さい。
しかし資源国通貨は成長力があるということだけで相場の見通しを無視した長期投資はやめた方がいいです。しっかり相場の見通しを立てましょう。
自分の投資スタイルに合わせて、デュレーションや購入時手数料はしっかり比較して選択することをおすすめします。
短期豪ドル債オープン(毎月分配型)が購入できるネット証券
なるべく安い手数料の証券会社を選んで取引することをおすすめします。
購入時手数料(税込) | 販売会社 |
---|---|
2.16~1.08%<=キャンペーンで無料! | フィデリティ証券 |
2.16~0.54% | マネックス証券 |
2.16~1.08% | SBI証券 |
2.16~1.08% | 楽天証券 |
2.16~1.08% | カブドットコム証券 |
※2014/09/01時点
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