楽天日本株トリプル・ブル【評価】3倍儲かるわけではない
アベノミクスによる日本株高が活況になり人気が沸騰したのが、
楽天日本株トリプル・ブルです。
2014/08/15時点で純資産額は、約284億円でネット証券の販売では上位にランキングされる人気の投資信託です。
楽天日本株トリプル・ブルの運用内容を評価
「日本株の先物指数」と「国内の短期公社債」を投資対象とします。
先物取り引きによるレバレッジ効果を利用して日々の投資信託の値動きが3倍になることを目指した運用をおこないます。
レバレッジを効かせた運用では追証による元本を超えた損失が心配ですが、この投資信託の運用では追証が発生しないように運用しているため、元本以上のマイナスが発生することはありません。
項目 | 説明 |
---|---|
投資対象 | 日経225先物、短期公社債、日本株も許可 |
通貨 | 円 |
決算 | 年1回配当はしてない |
設定日 | 2009-06-19 |
運用種別 | アクティブファンド |
運用形態 | 直接運用 |
先物取り引きによるレバレッジ効果を利用したハイリターンを期待できる投資信託です。
株式の信用取引には、手数料、追証の発生など投資初心者にとってはとても難しいものです。投資信託で簡単にレバレッジを効かせた投資が行えるのはとても便利です。
通常、先物取り引きはある程度まとまった証拠金が必要だったりしますが、投資信託なら証拠金なしで1000円からでも購入出来るのですから資金効率を高くすることが出来ると思います。
注意が必要なのは、日々の値動きが3倍になるのであって、株価指数で出る利益の3倍儲かるという訳ではないということです。
名称にある「ブル」というのは、牛の角が上を向いている様を上昇相場に例えたものです。トリプルブルは、3倍の上昇を期待するという意味なのですね。
購入時手数料や運用コストを評価
項目 | 説明 |
---|---|
購入時手数料 | 2.16% |
実質の信託報酬 | 1.00% |
<評価・解説>
レバレッジを効かせた先物という難易度が高い運用ですから、それなりに購入時手数料がかかるようですね。
信託報酬の方は、日本株投資信託と比較するならかなり低い水準と言えます。
とはいえ個人的にはレバレッジ効果のあるものを運用するなら、長期より短期の保有を考えた方がいいので信託報酬が高くても購入時手数料は、0%なのが理想なんですけどね。
単純に3倍儲かったり 3倍損失が膨らむというわけではない
以下、3パターンの値動きシミュレーションです。
<評価・解説>
(1)の場合は、株式市場が+20%に対して、この投資信託は+71%の上昇で、3.5倍の値動きになっています。
上昇し続けた場合は、+3倍よりも大きな差が結果として生まれることがあるのです。
(2)の場合は、株式市場が-20%に対して、この投資信託は-49.6%の下落で、2.5倍の値動きになっています。
下落し続けた場合は、-3倍にならないこともありますし、-3倍よりも大きな差が結果として生まれることもあります。
(3)の場合は、株式市場が上下したパターンです。
株式市場が+-0%に対して、この投資信託は-16.4%となっています。
通常価格は上下することの方が多いですから価格の推移は単純ではありません。
評価する期間が長くなるほど価格の動きはより複雑となることでしょう。
レバレッジを効かせた運用をするということは、プラス方向へ3倍動きますが、マイナス方向へも3倍動くということです。
マイナス方向へ3倍動いた場合、もとの位置へ戻るには3倍以上の値動きが必要となります。
100 (-3%) => 97 (+3.09%) => 100
なるべく連騰するような上昇トレンドの期間のみで大きな利益を得るという投資が向いていると思います。長期で持つのは不向きでしょうね。
組み入れられている ポートフォリオの評価
<評価・解説>
見方が難しいので詳しく解説します。当月末の数値で話します。
公社債に59.5%。短期金融資産他が40.5%の投資比率となっております。
短期金融資産他の40.5%を担保にして証拠金を設定して日経225への先物取引をしています。
純資産額に対して、296%と概ね3倍の運用をしていることがわかります。
公社債に資金の半分を投資して、残りの資金で先物を運用しているというところがポイントです。
短期の公社債銘柄も掲載しましたが、残り数日や1ヶ月などの短期であるのがわかります。
日経225先物というのは、日経225先物ラージがレバレッジ100倍。ミニがレバレッジ10倍のものです。40.5%の資金であっても容易に3倍の運用ができることが分かりますね。
公社債を組み入れている理由について
日本株へ投資するのになぜ半分以上も公社債へ投資しているの?
と疑問に思いますよね?
日本の投資信託では、有価証券を2分の1を超える額を保有する必要があるとしたルールが決められているからです。
先物取り引きでは有価証券にはなりませんので、しょうがなく値動きの少ない債券を保有しているといったところだと思います。
実質的に日本株の値動きのみを反映させた投資信託と思って良いと思います。
ベンチマークと運用実績の比較を評価
この投資信託にはベンチマークがありません。
<評価・解説>
同じような投資信託と比較して評価するようにして下さい。
レバレッジを効かせた同じようなものが無ければ、日本株投資信託との比較をしてみるとよいです。
レバレッジの効いた値動きはイメージするのがとても難しいので、過去の下落局面、上昇局面、停滞局面などをチェックしてみることが大事だと思います。
リーマン・ショック前後の動きでリスク・リターンを実感してみる
過去に大きく上下したときの値動きを確認することでリスク・リターンの特性を実感してみたいと思います。
期間 | 損益率 |
---|---|
下落幅 (2008/01/04-2008/12/30) |
未運用 |
上昇幅 (2009/01/05-2009/12/30) |
未運用 |
※計算方法は、配当の再投資なしで本当の利回りによる計算とします。
<評価・解説>
リーマン・ショック後に新設された投資信託ですから評価はできません。
上下の大きかった期間の動きでリスク・リターンを実感してみる
大した下落でもないのですが、最近の下落を確認してみます。
期間 | 損益率 |
---|---|
上昇幅 (2013/09/02-2013/12/30) |
+68.5% |
下落幅 (2014/01/06-2014/05/30) |
-25.8% |
※計算方法は、配当の再投資なしで本当の利回りによる計算とします。
<評価・解説>
同期間の日経225インデックスですが、
上昇幅:約+20%
下落幅:約-8%
ですから、それよりも大きな値動きになっていることが分かると思います。
上昇=>下落のパターンですが、下落=>上昇となるとまた違った結果になりますので認識しておきましょう。
楽天日本株トリプル・ブルへの資金流入と資金流出
<評価・解説>
2013年からのアベノミクスによる株高で一気に流入が増加しているのがよく分かります。
そして2014年初旬の下落に合わせて大きく流出、その後下落からの反発を狙って大きく流入。
とてもメリハリのある資金流入出が見て取れます。
楽天日本株トリプル・ブルへの評価と感想
レバレッジを効かせた運用が投資信託で気軽にできるのはとても評価できます。
とはいえ、中長期保有により増やすという資産運用には不向き。
大きく上昇するタイミング、暴落からの反発を狙ったタイミングなどを短期で投資するのに向いているのだと思います。
このサイトでは投資にはレベルがあるとお伝えしていますが、レバレッジを効かせた運用はとても難易度が高いです。
投資信託なら簡単に投資できるといっても利益を大きく伸ばすこととは別の話です。
=>初心者が投資を始めるにはステップを理解する必要があります
短期売買するにしても購入時手数料が気になるところ。コストを上回るリターンを得られそうな強気な相場の時だけ投資を戦略的にできる人でないと儲けるのは難しいと思いますので注意して下さい。
ネット証券なら1000円からもでも購入できますし追証の心配もないので投資初心者でもやけどせずにすむと思います。
レバレッジ運用を試してみたいという初心者にとっては利用価値はあるかもしれません。本格投資することは避けて欲しいですが、レバレッジ運用がどれだけ難しいものなのかを1回でも体感しておくことは経験としてとても価値があります。
楽天日本株トリプル・ブルが購入できるネット証券
なるべく安い手数料の証券会社を選んで取引することをおすすめします。
購入時手数料(税込) | 販売会社 |
---|---|
2.16~1.08% | マネックス証券 |
2.16~1.08% | 楽天証券 |
2.16% | カブドットコム証券 |
※2014/08/14時点
★この記事を読んだ方はシェア/ブックマークで応援お願いします。
スポンサードリンク
お役立ち関連記事
ついでに読みたい
- 日本トレンドセレクトハイパーウェイブ【評価】スイッチングを活用
- 日本株ハイインカム毎月分配レアル【評価】アストマックス投信
- 結い2101/鎌倉投信【評価】お金儲けじゃない心の満足感
- さわかみファンド【評価】直販投信の先駆け!長期投資で割安?
- 日本株アルファ・カルテット毎月分配型【評価】日本株の四階建て
- JASDAQオープン三菱UFJ【評価】隠れたお宝銘柄?
- ひふみプラス【評価】直販ファンドがネット証券で買える意味!
- 新興市場日本株レアル型【評価】他にない魅力はさすがネット証券専用!
日本株の投資信託 メニュー日本株の投資信託 メニュー