投資信託は5つのポイント!目論見書の読み方をマスター(2)
実際の目論見書を使って、どこを見るのか?
読み方を具体的に紹介したいと思います。
目次
目論見書を見るべきポイントは5つ
目論見書によっても書いてあることは多少異なりますが、
以下の5つを確認できればいいと思います。
(1)何に投資するものなのか?
(2)どうやって運用するのか?
(3)リスクにはどんなものがあるか?
(4)過去の実績はどうか?
(5)手数料はどのくらいかかるか?
過去の実績に関しては、
運用レポートというものがありますのでそちらで詳しくチェックすることも出来ます。
今回は、
「DIAM J-REITオープン(毎月決算コース)」
を例にして順にチェックしていきたいと思います。
あなたも実際の目論見書をみながら、一緒に確認してみることをおすすめします。
(1)何に投資する投資信託なのか確認する
東京証券取引所に上場されている、
J-REITに投資するものだということがわかります。
J-REITは、日本の不動産に投資するもので、
不動産価格や家賃収入などにより価格が上下する投資商品であることがわかりやすく書いてありますね。
(2)どうやって運用される投資信託なのか理解する
まずは、運用プロセスと書いてある所を見てみましょう。
沢山のJ-REITをリスクが高いものを除外した上で選定する。
実際の物件を調査して価値を算定した上で選んでいるようですね。
業績内容や決算書だけで選んでいるのではなく、ちゃんと足をつかった堅実さが読み取れます。
ポートフォリオとは、どのJ-REITをどの割合で保有するのかということです。
次にファンドの仕組みをチェックしてみます。
この投資信託は、「DIAM J-REITオープン・マザーファンド」というものに投資しているということが書いてあります。
J-REITを直接売買していないということに注目して下さい。
前述した運用プロセスの内容は、
「DIAM J-REITオープン・マザーファンド」の話が書いてあるのです。
別のファンドを仲介して間接的な投資を行っているのですね。
運用結果は、基本的にそのまま反映するので実質の運用内容に間違いはありません。
別のファンドを仲介する仕組みは、
投資信託では一般的になっています。
ファミリーファンド方式の他に、ファンド・オブ・ファンズなどがあります。
仲介する分、どこかで無駄なコストが発生すると考えられるため、
直接投資するものの方が運用効率が良いのは確かですが、
一から投資信託を構築するより結果的にコストは安くなるはずです。
特に今回の場合、両方とも同じ運用会社のDIAMであることがわかります。
同じ会社であることは、無駄を省ける余地があるので別会社の場合とはちょっと印象も違います。
この投資信託は、
毎月16日に投資信託を取り崩して、
分配してくれる商品であることがわかります。
同じようなJ-REIT投資信託を作る場合に、
別の人が同じ運用をするなんてとても非効率ですよね。
既存のJ-REITファンドに毎月分配する運用を加えたものであるということがわかります。
投資信託にはニーズに応じて、多くのバリエーションが存在しますが、
仲介する流れを作ることによって、
そのニーズに柔軟に答えるための仕組みだと言えるでしょう。
(3)投資リスクにはどんなものがあるか知る
リスクというと負のイメージがありますが、これを知ることが投資で儲けるのにとても重要なことであると知っておいて下さい。
リスクは、その投資信託が何によって価格が上昇するのか?
何によって価格が下落するのか?
ということが明確に書いてあるのです。
リスクの要因を知っていれば、これから上げそうか?下げそうか?
予想することができるというものです。
逆にそのリスク要因が自分ではよく理解できない、どこでチェックしたらいいかわからない。
そんなものには、手を出さないという判断にも使えます。
この投資信託には、主に4つのリスクが書いてあります。
・J-REITの価格変動リスク
不動産の基本的な運営リスクが書いてあります。
景気に左右されたり、火災などにより建物を失ったりするという話が書いてあります。
国の規制により、建物の用途に関して規制が強化され運営できなくなったり、規制が緩和して幅広い用途で貸し出すことができるようになったりという話も書いてありますね。
・金利リスク
金利についてここではここで割愛しますが、
インフレで金利が上昇したり、デフレで金利が低下したりします。
この金利の上下によって、J-REITの価値も上下するということがわかります。
・信用リスク
会社の経営状況悪化や、資金繰りの問題などお金が借りられなくて維持が困難なことがあると、
不動産を売却するはめになったり、最悪の場合、倒産する可能性もあるということです。
・流動性リスク
不動産バブルがはじけたりすることは日本でも過去に経験していますが、
価値が下がるから、今すぐにでも売りたいという人が殺到し、
売りたい人だけになると売れないこともあるという話です。
売れるころには、大きな損害を被ってしまう可能性があるということ。
ここまでみて、リスクの話は難しいと思った人も多いでしょう。
特に信用リスクというのは一番、難しいところです。
何十、何百ものJ-REITについて決算書を見るなんて一般の人には不可能です。
これをプロに任せられるのは、投資信託の良い所といえるでしょう。
(4)過去の運用実績を確認する
過去の実績は、運用レポートで最新のものをチェックすることが望ましいいですが、
交付目論見書にも簡易的なものが掲載されていますので、
ざっと目を通しておくといいです。
※分配金は取り崩し金なので、必ずしも利益から分配されるとは限りません。
毎月分配型については、別途ご紹介しますのでここでは割愛します。
これまでどのように価格が推移してきたか?
分配金は、安定して出ているか?
証券や現金の比率はどうなっているか?
どんなJ-REITを実際に購入しているのか?
どんな時に下げていて、どんな時に上げているのかその次代の相場背景と照らし合わせれば、
その商品の性質を理解するのに役立つと思います。
(5)購入時手数料と運用手数料を確認する
投資信託には、主に2つの手数料が存在します。
・購入時手数料 ・・・購入するときに差し引かれる手数料で販売会社や運用会社などに支払われます。
実際に投資する証券は、手数料を引いた後の金額が保有額になります。
購入時手数料がキャンペーンで割引になったり、ゼロのものもあります。
・信託報酬 ・・・・日々、運用するための手数料。年率で表されているものが日割り計算されて毎日、引かれます。
注意して欲しいのは、
購入時手数料です。
目論見書に書いてある購入時手数料は、あくまでも目安が書いてあります。
実際の手数料は、販売会社によって異なって設定されていることが多いので、
「購入時手数料」は、必ず販売会社にて確認するようにしてください。
SBI証券の画面を実際にチェックしてみると以下のようになっています。
目論見書の3.24%より、低くなっていますね。
インターネットで注文すれば、1.08%
電話注文すれば、2.16%
取引の仕方によって手間が違うので手数料にも差があるようです。
「信託報酬」に関しては、必ず目論見書の方をチェックするようにしてください。
銘柄によっては、ネット証券の画面に表示されている信託報酬よりも、
多くかかる可能性があることが示されています。
※最近のネット証券画面では、実質信託報酬を載せるようにもなってきたようです。
これは、予め分かっている固定の手数料は分かりますが、
その時に応じてかかる手数料が異なる場合もあるからです。
どの程度かかる可能性があるかも、数値でしっかり明記されていますので、
基本的な信託報酬にプラスして計算しておくことが重要です。
「名目の信託報酬」に対して、
後者を「実質の信託報酬」などと使い分けることがあります。
同じような銘柄で比較するときは、
必ず、「実質の信託報酬」でチェックするようにしましょう。
※参考
米国高利回り社債・ブラジル・レアルファンド(毎月決算型)の目論見書
名目の信託報酬が1.0584% 実質の信託報酬が1.65%
ファンド・オブ・ファンズなどでは、投資対象の投資信託で必要な運用費用が別途かかります。
目論見書を読んで理解することは、
最初は時間かかりますが、慣れれば10分程度で把握できることでしょう。
もちろん、その前の段階でふるいにかけておけば、目論見書を見る必要のない銘柄もあるでしょうから効率よく探すことが可能です。
まずは1銘柄。どんなことが書いてあるか理解しておきましょうね。
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