通貨選択型/投資信託は為替取引を加えたWハイリスクハイリターン
目次
通貨選択型は通貨を選べる投資信託のこと
「通貨選択型」とはその名の通り、
通貨を選べる投資信託のことです。
例えば、通貨選択型の先駆けとなったこの商品
「野村米国ハイ・イールド債券投信 (通貨選択型) 」
以下の9コースが存在しており、投資信託を購入するときにどのコースにするか選べます。
・円コース
・米ドルコース
・ユーロコース
・豪ドルコース
・ブラジルレアルコース
・南アフリカランドコース
・トルコリラコース
・通貨セレクトコース
・メキシコペソコース
通貨選択型は投資対象とは別に為替による利益を乗せたもの
通貨選択型の投資信託は、
2階建て投資商品とも言われています。
それは、
ある「1つの投資対象」に「為替の投資」を上乗せしてプラスしているからです。
例えば「債券の投資」+「為替の投資」を行います。
1度の投資で、2つの投資が一度にできるので高い収益が狙えます。
ハイリスク/ハイリターンの商品です。
債券以外に、株式やREITなどあらゆるもので、
2階建て商品は登場しています。
野村米国ハイ・イールド債券投信 (通貨選択型) の投資構造
前述した、
「野村米国ハイ・イールド債券投信 (通貨選択型) 」
を例に見て行きましょう。
この投資信託は、
米国の高利回り債券に投資するものです。
米国債の値上がり益、金利などの利息により収益を得ます。
これに加えて為替の投資が出来るわけですが、
ブラジルレアルコースを選んだものとして説明します。
為替差益や金利により収益を得ます。
期待できる収益は、
「米国の高利回り債券の投資で得られた利益」
+
「ブラジルレアルの投資で得られた利益」
でWの収益を目指すものです。
同じ資金で米国債だけに投資するより、
通貨選択で投資すれば、投資効率を上げることができるというわけです。
2階建て投資信託は2つの別のものへ投資しているという意識が重要です
ハイリスク/ハイリターンでとても魅力的ではあるのですが、
単に値動きが大きいという話とは違うことであると認識してください。
それは、別のものへ投資しているので、
それぞれ別の値動きをするということです。
以下、4パターンを見てイメージしてください。
(1)「米国債の収益が5%上昇」 + 「ブラジルレアルの収益が5%上昇」
合計した損益は、+10%
Wの収益が得られますが・・・・
(2)「米国債の収益が5%上昇」 + 「ブラジルレアルの収益が-5%下落」
合計した損益は、0%
せっかくの利益が、為替の損失で相殺されてしまいました。
(3)「米国債の収益が-5%下落」 + 「ブラジルレアルの収益が5%上昇」
合計した損益は、0%
逆のパターンでは、債券損失の穴埋めになるという言い方もできます。
(4)「米国債の収益が-5%下落」 + 「ブラジルレアルの収益が-5%下落」
合計した損益は、-10%
Wで損失をこうむります。
5%と一定の数値で当てはめたシミュレーションですが、
実際の値動きは、それぞれ全く違います。
また時期によっても、大きく動いたり小さく動いたりします。
通貨選択型は複雑だと言われるのは、
この値動きに有ります。
しかし、複雑だから投資しないほうがいいなどと安易な切り捨てはよくありません。
債券などに相場のトレンドがあるように、
為替にも相場のトレンドがあります。
自分で各相場を理解して、両方とも収益が上昇するトレンドであると分かるなら、
とても魅力的な投資信託となるはずです。
相場が理解できると複雑であっても問題ありません。
投資する価値は十分あります。
通貨選択型は、値動きが複雑であっても相場が理解できるかどうか。
理解できる人なら投資しても良いと思います。
※実際の運用では、為替をNDFという取引を行っており、それらの運営自体が複雑だという話も批判の対象になったりしますが、個人的には値動きがしっかり連動していれば問題ないと思います。
こんなのはプロだからこそ出来るもので、投資信託の醍醐味ではないでしょうか。
通貨選択したものはスイッチングで切り替えることができる
通貨選択型は、
スイッチングできることも1つの魅力です。
通貨の相場は、時とともに変化します。
それは、株や債券などよりも急激なトレンド転換がおこったりするからです。
「野村米国ハイ・イールド債券投信 (通貨選択型) 」では、
9コースの通貨から好きなものを選択できますが、
最初は、ブラジルレアルで購入したけど、
今後はブラジルレアルがダメそうだから、
豪ドルに変更しようなどという戦略が出来るのです。
ただしスイッチングと言っても、
内部的には、今のコースを売却して、
切り替えたいコースで購入をしているだけです。
購入する際には、手数料がかかりますから、
スイッチングすることで目減りする可能性があるのです。
注意してくださいね。
しかし、
証券会社や投資信託によっては、手数料が無料でスイッチング出来るところもあります。
通貨選択型を購入するにあたり、事前に確認しておきたいポイントです。
2階建てであっても2階建てではない通貨選択
「野村米国ハイ・イールド債券投信 (通貨選択型) 」では、
米ドルコースというものがあります。
米国債券は、もともと米ドル建てで取引されるものですから、
米ドルコースを選んだ場合は、2階建ての投資信託ではなくなります。
1階建になるのです。
例えばこちらの通貨選択型ではない投資信託ですが、
みずほ USハイイールドB(ヘッジなし)
米ドルコースとこれは、同じような性質のものとして捉えることができます。
※当然、投資している米国債が違います。
それから円コースというものがあります。
これは米ドルの為替を円でヘッジするものです。
米国債は、米ドルの値動きによって、価格が上下するのが普通ですが、
為替の動きに左右されないようになります。
債券が値上がりしても、円高だから結局マイナスということを防げます。
単純に米国内での債券の動きだけに連動します。
単純に1階建ての投資信託と言えますね。
例えば、これと同じような性質のものとして捉える事ができます。
みずほ USハイイールドA(ヘッジあり)
※当然、投資している米国債が違います。
通貨選択できない2階建て投資信託も存在する
「米国高利回り社債・ブラジル・レアルファンド (毎月決算型)」
こちらの投資信託は、
「米国の高利回り社債への投資」
+
「ブラジルレアルへの投資」
をする2階建ての投資信託です。
しかし、
通貨選択型ではありません。
他の通貨コースへスイッチングすることは出来ないのです。
同運用会社には、
米国高利回り社債・円ファンド (毎月決算型)
米国高利回り社債ファンド (毎月決算型) ※米ドル建て
同じようなものがあるのですが、まったく無関係です。
もちろん、自分で売買することはできます。
2階建てであっても通貨選択型ではないものがあることを知っておきましょう。
ちなみに私は、今までに多くの通貨選択型投資信託を運用してきました。
またこれは、毎月分配型とも相性がいいので、
投資内容に理解できるひとは挑戦してみる価値は大きいです。
3階建投資信託もありますよ。(^_^)
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