運用報告書の見方は簡単!記載事項で投資信託の実態を掴む(3)
目次
運用報告書は月次運用レポートで分からないことを補完する
運用報告書の記載事項は、
細かい経理上の数値などが沢山記載されていて、
初心者にとっては、ちょっと難易度が高いかもしれません。
運用状況を確認したい場合、月次運用レポートで内容を理解することから始めます。
最新データを確認出来るという意味でも、運用報告書より先にこちらを見ることをおすすめします。
運用報告書には、
月次運用レポートに記載されていない細かいところまで記載されています。
運用報告書でしか確認できないものをチェックするときに利用すると良いです。
今回は、DIAM J-REITオープン(毎月決算コース)を例に、
私なりの見方を投資初心者でも分かるようにご紹介したいと思います。
実際に手元に用意して一緒に見て行きましょう!
過去の運用実績と状況の推移を把握する
運用実績のところでは、
「投資証券組入比率」というところに注目してみたいと思います。
この投資信託は、アクティブファンドですから、
割高な時には、売却して現金化。
割安なときには、できるだけ購入して現金の比率を下げる。
という運用が行われることが望ましいと思われます。
どういうときに攻めて、どういうときに守るか、
その投資状況が通期でその変化を捉えることが出来ます。
上記の運用報告書では、
最低で、87.9%。
最高で、97.7%。
個人的には思っている以上にアクティブさが出ているなと感じます。
とはいえ、世の中には50%-100%などの現金化を可能としているアクティブファンドもありますから、
それに比べれば大したことはないですけどね。(^_^;
運用手数料である信託報酬の内訳を確認する
投資信託の手数料は、
結果にも跳ね返りますから安い方がいいに決まっています。
信託報酬がいくらかかったかが具体的な数値で確認することが出来ます。
信託報酬は、日々の基準価額から引かれていますが、
リターンと手数料分の区別は難しいですね。
具体的にいくらかかったのかが明確化されていますので透明性があってとてもよいです。
信託報酬というのは、販売会社と運用会社で取り分があることがわかります。
販売会社が一番多いのですね。
信託報酬の他には、
「売買委託手数料」が計上されていることも分かります。
運用手数料は、単純な信託報酬とは別に必要なものがあるのですね。
上記のデータは、
第110期~第115期の期間の合計です。
6ヶ月で33円です。
ということは、1ヶ月あたりに換算すると5.5円。
最終期での料率を計算してみると、
5.5 x 12ヶ月 ÷ 6,129 x 100 = 1.07684%
目論見書に書いてある信託報酬が、
年率1.08%となっていますから大体合致する内容であることが分かりますね。
1日当たりに換算すると、0.1542円。
(※214日で日割り)
毎日、この程度のコストが引かれているのだなということが感じ取れます。
投資信託の解約状況を確認する
投資信託を買う人もいれば、売る人もいます。
人気があるのか、無いのか?
投資信託そのものの人気以外にその投資そのもののトレンド状況を反映したりと、
様々な変化を読み取るのに役立ちます。
純資産額では、投資資金の総額を知ることができるのですが、
日々の値動きなのか、解約なのか?買い入れが増えたのか?
分配金による下げなどもあり分かりません。
解約状況は、運用報告書でとても重要な確認場所です。
設定は、追加購入した分です。
解約より、追加購入した人の方が多いことが分かりますね。
急激に解約(売る人)が増えたりした時は、要注意です。
相場のトレンドが変化して下落トレンド入りするときには、多くの解約が発生します。
投資信託というのは、
他の投資同様に安く売って高く 売らないといけません。
相場のトレンドが割高で天井となるときの手がかりになったりします。
マザーファンドの構成比率を確認する
DIAM J-REITオープン(毎月決算コース)は、
ファミリーファンド方式ですのでその構成比率が掲載されています。
=>ファミリーファンド方式については目論見書にて確認しています
こちらがマザーファンドの構成比率です。
投資証券組入比率や、月次運用レポートのところで確認した時、
投資証券そのものは、約91%程度でした。
要するに現金化して保有している部分というのは、
マザーファンド内でのことであるということが分かりますね。
ただしちょっと気になるのは、
マザーファンドへ投資していない残りが1.4%存在しているということ。
手数料処理の問題なのでしょうか?
投資していない分、リターンが増えません。
あえて言うなら、ここでも現金を確保しておいて売り買いを判断しているという二重運用という、
ちょっと非効率さに見えてしまいます。
ファミリーファンド方式の場合、
マザーファンドの比率を見ることで二重運用による非効率さを確認することができるのですね。
ただしこれを非効率というのか、
戦略的というのかは難しい所。
特にファンドオブファンズの場合は、
各ファンドへの投資比率の調整が運用の要となりますので、
よりこちらの運用会社側の裁量が重視されることにもなると思います。
マザーファンド側の運用状況も確認できる
DIAM J-REITオープン(毎月決算コース)は、
「DIAM J-REITオープン・マザーファンド」を購入するという運用をしています。
「マザーファンド」の運用は別ものですから、
運用報告書も別に存在します。
DIAM J-REITオープン(毎月決算コース)は、
運用報告書の後方にマザーファンドの運用内容が付いています。
マザーファンドの運用報告は、
実物の投資証券(J-REIT)を売り買いした運用実績を確認することが出来ます。
基本的に見方は同じです。
どんな銘柄をいくら売り買いしているのか具体的な数値を見ることができます。
何を買って、何を売ったのか?
売りも買いも両方おこなっているものもありますね。
いかがでしたでしょうか?
細かな経理上の数値は見なくても、多くのことが分かりますね!
運用報告書の全てを把握する必要はありませんので、
この見方を参考にして運用報告書をぜひチェックしてみてください。
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