セゾン資産形成の達人ファンド【評価】コスト低いアクティブF組入
コストの安いアクティブファンドを選んでファンド・オブ・ファンズ運用している、
セゾン資産形成の達人ファンド。
直販ファンドのセゾン投信が販売するセゾンバンガードグローバルバランスがインデックスファンドを活用しているのとは対照的で、よりアクティブに積極投資する姿勢を示す商品設計だと思います。
セゾンバンガードグローバルバランスよりは売れていないものの、2014/09/29時点で純資産額が163億円となっております。
日本郵便との資本業務提携でこれから認知が広がるかもしれません。
セゾン資産形成の達人ファンドの運用内容を評価
日本を含む世界の株へ投資します。
複数のアクティブファンドを活用して運用します。活用ファンドの選定は、企業分析、長期視点、適正な手数料であることを条件とします。
株式中心の投資となるのですが、より有望な投資機会がない時は一部債券への投資を行う場合があります。
項目 | 説明 |
---|---|
投資対象 | 世界各国の株式、債券 |
通貨 | 各国 |
為替ヘッジ | なし |
決算 | 年1回12月 |
設定日 | 2007-03-15 |
運用種別 | アクティブ |
運用形態 | ファンド・オブ・ファンズ |
<評価・解説>
1つの投資信託で、株の世界分散が出来るのはとても便利だと思います。
アクティブファンドを使ったファンド・オブ・ファンズでは、同じ直販ファンドのありがとうファンドが思い浮かびます。
どうしてもコストが高くなりがちなファンド・オブ・ファンズですから、低コストを重視しているセゾン投信はそこに差別化されているところに期待したいものです。
債券に投資する場合があると言っても、基本的には株式中心の投資でありリスク低減のアセット分散はされないものと思ったほうがよいです。
セゾンバンガードグローバルバランスはバンガード社のファンドのみに限られていたのですが、こちらは色々な運用会社のものを選別しているようです。選択肢が多く自由度が高い方がより優秀なファンドを組み込めますね。
ファンド・オブ・ファンズをあえて選択する理由は、機関投資家にしか買えないもので構成し他とは違った優位性がどれだけ示されるかにかかっていると思います。
長期投資というスタンスで今のところ分配金は出さずに運用しています。
購入時手数料や運用コストを評価
項目 | 説明 |
---|---|
購入時手数料 | 0% |
実質の信託報酬 | 1.35%+-0.2% |
<評価・解説>
直販ファンドのメリットを活かして購入時手数料0円としているのはとても素晴らしいです。
信託報酬ですが、インデックスファンドで運用するセゾンバンガードグローバルバランスよりは高く感じるかも知れませんが、アクティブファンドで運用するファンド・オブ・ファンズのものとしては安く感じます。
投資先ファンドの比率により信託報酬も多少変動する場合があります。
ただしファミリーファンド方式のものでもう少し信託報酬が安いものはありますので、世界の株へ投資する同じような投資信託と比較してみることをおすすめします。
以下は、投資先ファンドの信託報酬になります。
最大で1.08%。1%を割るものが多いのはコスト重視であることを物語っていると思います。
機関投資家向けのファンドが多く含まれていますから、コストの面では優位性がありそうです。
日本の直販ファンドであるコモンズ30が入っているのは微妙な気もしますが個人が通常購入する場合、信託報酬が1.35%となっていますからコストの優位性を感じます。
組み入れられている ポートフォリオの評価
<評価・解説>
目論見書に掲載されていたもの全部には投資していないもよう。直販ファンドのコモンズ30を外していますね。
日本株へ投資するものが3つも他に投資していますし、日本株ファンドの中では一番高いコストなのは要因なのかもしれません。
T. ロウ・プライス・ファンズSICAV-グローバル・アグリゲート・ボンド・ファンドに関しては、債券投資用ですから投資していないというのは現状の好調な株式相場を考えれば納得の運用では有ります。
まず、日本株に投資しているファンドですが、
スパークス・長期厳選・日本株ファンド〈適格機関投資家限定〉=>組入銘柄数:15
スパークス・集中投資・日本株ファンドS〈適格機関投資家限定〉=>組入銘柄数:27
かなり厳選した集中投資をおこなっているファンドだというのがよく分かります。
以下は、外国株も合わせて組み入れ銘柄数は、34銘柄でやはり集中投資が伺えます。
TMA長期投資ファンド〈適格機関投資家限定〉
米国株に投資するものが3つありますね。
バンガード 米国オポチュニティファンド=>組入銘柄数:186
T. ロウ・プライス・ファンズ SICAV-USラージキャップ・グロース・エクイティ・ファンド=>組入銘柄数:69
T. ロウ・プライス・ファンズ SICAV-USラージキャップ・バリュー・エクイティ・ファンド=>組入銘柄数:76
※グロースは成長株。バリューは割安株を意味します。
日本株よりは株数が多く分散されていますが、
下2つは、それでもちょっと少なめにおさえている印象なので厳選している感じが伺えます。
ヨーロッパと新興国への投資は各1本でシンプルになっています。
日本と米国株への投資先ファンドに関してのこだわりが出ていると言えるかもしれません。
運用レポートに掲載がなかったので確認したところ以下のようになっておりました。
セゾン投信の現金比率: 3%
投資先ファンドを含めた全体の現金比率: 5-6%
※2014/09/29時点
ちょっとセゾン投信の現金比率が高めなのは気になります。
ファンド・オブ・ファンズの場合、現金の管理が二重に存在すると資金効率が悪くなるのでなるべく投資先に任せた方がいいと思います。
現金比率が高めとはいっても、全体で10%を超えるものも存在しますからその中では低めです。
地域別の比率に関しては、日欧米の先進国中心で市場規模に合わせた標準的な配分だと思います。
でも、少し日本株の比率が多く設定しているようには思います。最近は、日本株が好調ですからそのことを考えた場合、良い判断をしているようには感じます。
リーマン・ショック前後の動きでリスク・リターンを実感してみる
過去に大きく上下したときの値動きを確認することでリスク・リターンの特性を実感してみたいと思います。
期間 | 損益率 |
---|---|
下落幅 (2008/01/04-2008/12/30) |
-44.0% |
上昇幅 (2009/01/05-2009/12/30) |
+35.0% |
<評価・解説>
いくら世界分散していてもリーマン・ショックのような世界同時株安などでは大きな下落となっていますね。
過去の運用レポートが確認出来ないですが、下落相場のときに債券の組み入れ比率がどうなっているか知りたいところです。
下落後の反発はそれなりに大きいです。出遅れ感があった日本株が少なく、世界の株を主導していた米国株の比率が大きいことは影響していると思います。
セゾン資産形成の達人ファンドの資金流入と資金流出
<評価・解説>
2013年の12月に大きな下落があります。相場が大きく上昇したところで利益確定した人がいたと思われます。
2013年は利益確定による流出が便著に出る年ではあるのですが、 資金流出がとても少なく長期保有でじっくり増やす投資家が多いと思わせるものです。
2014年に入ってからは、資金流入がそれまでの何倍にもなっています。2013年に利益確定した人の資金が、再度戻ってきているのじゃないかと思わせる動きも感じます。
資金流出がほとんどない状況は、一般のものでは考えられないので異常な信頼の高さを感じるところです。
セゾン資産形成の達人ファンドの評価と感想
アクティブファンドでのファンド・オブ・ファンズ形態は、どうしても信託報酬が高くなってしまいますが、
信託報酬の安い投資先ファンドを重視しているというのがハッキリ見えました。
スケールメリットの出なさそうな日本株ですが機関投資家向けでより安く、その中でも信託報酬が高いコモンズ30を除外していることなどは好印象な運用として感じました。
日本株ファンドの組み入れ銘柄数が少なく集中投資していることはかなり積極的な投資であることを感じますが、世界分散で比率も限定的ですからメリハリの効いたものだと思います。
銘柄数の少ない運用はコスト安にもつながるものだと思いますのでこういう特徴的な投資信託が一般にも多く出てくると面白いと思います。
ヨーロッパと新興国への投資は各1本ずつでシンプルなわりに、投資先ファンドの中では高いコストになっています。
こだわりがないならもっと安いものはないのかな?という印象を持ちました。
新興国への投資はそれなりにコストが高くつくのは分かりますが、ヨーロッパは投資し易いでしょうに。
海外への投資なのに日本国籍のものを使っているのは、足かせになっているのじゃないでしょうか。
世界株への分散投資が1本の投資信託でできて、購入時手数料が0円で信託報酬が低めになっていることはとても評価できます。
コストが高くなってしまいがちな世界分散のファンド・オブ・ファンズは敬遠するところなのですが、その中でも悪く無いと思えるものです。
とはいえいくらコストが安くても成績が伴っていなければ意味がありませんから単純に他より良いといえる訳ではありません。
地域配分が世界の市場規模に合わせた安定感のあるものとなっています。
新興国比率を高めてもっとリスクを取りたいという人には向いていないかもしれません。
債券を投資する場合があるとは言っても基本的には株式中心の投資ですから、
アセットアロケーションを意識して資産配分をしたいなら別途、運用の必要性を考えた方が良いと思います。
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