月桂樹/高金利先進国債券オープン【評価】高金利通貨メリハリ集中
国内の投資信託でベスト30位には入り2014/08/31時点で約4100億円もの規模となっているのが、
高金利先進国債券オープン(毎月分配型)です。通称、「月桂樹」とも呼ばれます。
一世風靡したあのグロソブの後発で商品設計も似ているので競合商品と言えるかもしれません。
後発メリットを活かして11年ロングセラーとなっている人気の投資信託です。
ネット証券での売れ筋とはちょっと違うので恐らく、銀行系での購入者が多いような気がします。
月桂樹/高金利先進国債券オープン(毎月分配型)の運用内容を評価
日本を除く先進国(OECD加盟)のソブリン債(政府機関が発行する債券)を中心に投資します。
高い信用力の中でも高金利水準の国を選択します。
為替ヘッジはありませんので、円安になればプラスの収益になりますが、円高になればマイナスの損失となります。
複数国へ分散投資しますので、為替は投資対象国の通貨影響を受けます。
投資対象国は適宜見直しとなっています。
毎月決算を行い、分配金を出します。
項目 | 説明 |
---|---|
投資対象 | 先進国の政府機関債※日本除く |
通貨 | 米ドル、ニュージーランドドル、英ポンド、豪ドル、ノルウェークローネなど |
為替ヘッジ | なし |
決算 | 毎月10日付近、年12回 |
設定日 | 2003-08-05 |
運用種別 | アクティブファンド |
運用形態 | ファミリーファンド方式 |
値上がり益が少ないものの安定した利息収益を目的としていると思います。
信用力の高い先進国のソブリン債で、毎月分配型という商品設計は、まさにグローバルソブリンオープン(グロソブ)を意識した後発の投資信託だと思いました。
とはいえ大きな違いが有ります。先進国の格付けは高く信用力がありますから、そのなかでも高金利水準にある国にのみに割り切って投資しているところ。
低金利である日本を完全に排除しているのはその表れでもあると思います。メリハリがあって特徴のある投資国の選定は、投資商品としてより高いリターンを得るために洗練された印象です。
グロソブではほとんどおこなわないものの適宜為替ヘッジとなっており、通貨バランスで為替リスクを低減するように運用しているようなのですが、こちらはそのような為替リスクを低減する運用は明記されていませんので、より運用者の実力が問われる商品だと思います。それだけ同じような投資信託の中でもリターンは高めの設定ということです。
後発メリットを活かしてより良い商品設計がなされたと思います。もしかしたら、グロソブからの乗り換えがあってもおかしくは無さそうな設計内容です。
毎月、分配金を出しますが収益が出ていない時は元本から払い出ししますので認識しておきましょう=>毎月分配型は「普通分配金」と「元本払戻金」がある
購入時手数料や運用コストを評価
項目 | 説明 |
---|---|
購入時手数料 | 1.08% |
実質の信託報酬 | 1.35% |
<評価・解説>
購入時手数料は、ネット証券なら約1%程度。人気で売れてる投資信託なのですから、購入時手数料は無料にして欲しいところ。
商品設計上、先進国の高格付け債券とういうことでこの手数料はシビアに考えたい。
信託報酬はグロソブとまったく同じ手数料率。同じような投資信託としてはちょっと高めではありますが複数国分散で運用が複雑なこともありますのでこんなものでしょうか。
でも、グロソブよりは運用が簡素化されている分、信託報酬は下げれた気がするのですけどね。後発な割に、強気なコスト設定です。
組み入れられている ポートフォリオの評価
<評価・解説>
投資対象国が5ヶ国ということでとてもシンプルな構成です。
一番信用力があって世界経済の中心とも言えるアメリカが最大の組み入れ比率というのはしょうがないとして、その他の高金利な国を大胆に配分しているのは商品設計で期待していた通りの運用をしてくれていると言えます。
経済規模が小さい国を高く組み入れている印象ではありますが、格付けはしっかり上位の2つなので問題はなし。
信用力が高いとはいえ為替の値動きは大きい国になりますのでハイリスクハイリターンと言えます。
デュレーションは短め。意外にも守りな姿勢が伺えます。
なるべく債券の値動きは小さくして安定した債券の利息収入と通貨による収益を期待するものと言えそうです。
シンプルでメリハリのある運用は好印象で、取れるリスクをとってよりハイリターンを目指しているというのが分かります。
運用がシンプルだけに信託報酬はやはり割高感を感じてしまいます。
まぁ結果が伴ってくれれば文句はないですけど。
ベンチマークと運用実績の比較を評価
この投資信託にはベンチマークがありません。
<評価・解説>
シンプルな投資だけにベンチマークとの比較をするぐらいは運用報告書に載せてもいいと思うのですけどね。
同じような投資信託との比較をしておくようにおすすめします。
リーマン・ショック前後の動きでリスク・リターンを実感してみる
過去に大きく上下したときの値動きを確認することでリスク・リターンの特性を実感してみたいと思います。
期間 | 損益率 |
---|---|
下落幅 (2008/01/04-2008/12/30) |
-23.0% |
上昇幅 (2009/01/05-2009/12/30) |
+14.8% |
※計算方法は、配当の再投資なしで本当の利回りによる計算とします。
<評価・解説>
信用力が高い先進国の債券の割にはやはりリスクを取っている分、大きく動いている印象。
ハイリターンの投資信託では、-50%になることもありましたからそれに比べればリスクは低い方と言えるかもしれません。
下げの反発が小さいですが債券は遅れてジワジワ上昇していますのでそれが表れていると思います。
月桂樹/高金利先進国債券オープン(毎月分配型)への資金流入と資金流出
<評価・解説>
2014年に入ってから急激な資金流入になっていることが分かります。
円安基調になった2013年から資金流入するのは分かるのですが、年が変わって急に倍以上の勢いにはちょっと異常に映ります。
もしかしたら銀行系などで販売が強化されたのでしょうか?グロソブが資金流出しているのでそこからの乗り換えということもあるのかな?
販売会社による勧誘は気をつけましょうね。(^_^;
成績がそれなりに良いみたいなので人気化したのか、ネット証券など販売網が広がったのか、憶測だけではなんとも分かりません。
急激な資金流入というのは運用に悪影響となることもありますので注意して下さい。今後の運用に注目です。
月桂樹/高金利先進国債券オープン(毎月分配型)のリターン
以下、配当込みの過去1年のリターンです。
期間 | 損益率 |
---|---|
(2013/08/29-2014/08/29) | +13.9% |
ちなみにグロソブのリターンは以下のとおり。
期間 | 損益率 |
---|---|
(2013/08/29-2014/08/29) | +12.2% |
※計算方法は、配当の再投資なしで本当の利回りによる計算とします。
<評価・解説>
グロソブよりリターンが+1.7%上です。
ただし購入時手数料を考えると微妙な成績か。
長期でリターンを見た場合はもっと差が開くので投資スタンスにより捉え方は違うと思います。
月桂樹/高金利先進国債券オープン(毎月分配型)への評価と感想
価格変動の少ない先進国債券でリターンが小さくなりがちな所を高金利通貨の国へ投資することによりリターンを高く設定しています。
メリハリがあってリスクをとった合理的な国の選択はとても魅力的な運用内容であると思いました。
しかし高金利通貨はリスクが高いので相場の局面によっては大きく動くことが想定されますので注意が必要。高金利通貨への見通しができる人向けの投資信託であると思います。
現在の成績をみて微妙なのは、購入時手数料が約1%程度あるのはちょっとネックになるかもしれません。同じような投資信託で手数料(購入時手数料、信託報酬)が低いものが無いかどうかはチェックしておくと良いと思います。多少成績が劣っていても投資初心者にとっては購入時手数料0%の方が使い勝手が良いはずです。購入時点で-1%のアドバンテージは思ったより大きいですよ。
銀行系でこの投資信託を買う時は手数料に注意して下さい。基本的には手数料が安いネット証券での購入をおすすめします。
月桂樹/高金利先進国債券オープンが購入できるネット証券
なるべく安い手数料の証券会社を選んで取引することをおすすめします。
購入時手数料(税込) | 販売会社 |
---|---|
1.08~0.54%<=キャンペーンで無料! | フィデリティ証券 |
1.08~0.54% | マネックス証券 |
1.08~0.54% | SBI証券 |
1.08~0.54% | 楽天証券 |
1.08~0.54% | カブドットコム証券 |
※2014/09/01時点
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